バレエのはなし(政治色の強いロシアバレエ)
バレエや芸術を通して、世界を見る、自分を見る、そんな入り口のようなwebメディアを作りたいと思い、30歳を目の前にこのwebサイトを開設。
そうこうしているうちに、4月中旬、気になるバレエのニュースが大々的に報じられた。
ロシアと欧米諸国の対外関係が影響していると言われているこちらのニュースをみて、なぜバレエが関係するのか・・違和感を覚える人が多いと思う。
バレエコラム第1弾は、こちらのニュースの裏側を書きたいと思う。
バレエをさほど知らない人でも見聞きしたことがあるであろう "ボリショイバレエ"(ロシア)
そのボリショイバレエのプリマ オルガ・スミルノワが アメリカに入国できなかったというニュース。
(驚くべきことに、同じくボリショイバレエのイタリア人ジャコポ・ティッシも同じく入国できず・・イタリア人なのに!?)
ボリショイバレエ団はロシア国立のバレエ団。王朝時代から続くロシアバレエだけあって、ロシアにおけるバレエの認知度や社会的位置付けも高く、バレリーナは日本でいうところの有名歌舞伎役者のような存在と考えてもらえればわかりやすい。
(ちなみに国立バレエ団に所属するダンサーは国家公務員扱。付属するバレエ学校の入学倍率は60倍~100倍と言われている)
そんな花形のTop of topであるスミルノワは、世界から注目を浴びる今をときめくバレリーナ。
だからこそ、誰もが羨むバレリーナが、アメリカに入国できないというニュースが与えるインパクトは相当なものである。
国立であるがゆえに、国=政治が絡みあい、常に政治利用される立場であることももちろん影響している。
(国立バレエ団はロシア以外にも、ヨーロッパ各国にあるが、その中でも群を抜いて、ロシアが政治色が高い。ちなみにスミルノワはボリショイの有力者の息子と結婚している・・)
推測ではあるが、そうした芸術と政治の背景が今回のビザ拒否という結果を招いたのだろう。
アートは人の心を惹きつけるが、その魅力が大きいが故に、いつの時代も権力者によって利用されてしまう•••
少し、突拍子もないニュースではあったが、そんなことを改めて感じた。
〜アーニャの小話〜
昨年の8月、スミルノワの踊りを初めて生で観たのだけど、25歳とは思えない抜群の安定感と、眩いオーラに圧倒されてしまいました。
また、ロシアにはボリショイよりも歴史が古い、マリインスキーバレエ(こちらも国立のバレエカンパニー)があり、彼女はそのマリインスキーバレエの付属バレエ学校出身。
誰もがスミルノワはマリインスキーに入団すると思いきや、ボリショイへ・・・
サンクトペテルブルク(日本の京都みたいな古都)のマリインスキー、モスクワのボリショイは常にライバルなので、在学中から注目を集めていた彼女の決断に驚かされたバレエファンも多いはず。
今はスミルノワと同じ進路を選ぶケースも多く、マリインスキーは優秀な若手を渇望・・近年ロシア人以外の入団を積極的に行っています。(これも今まではあり得なかったこと)
私は、もともとマリインスキーが好きで、スミルノワが学んだワガノワバレエ学校に留学するのが夢でした・・・(今となっては恥ずかしいけど)
ボリショイが最近、映画館と連携したバレエ上映(日本でリアルタイムで上映)したり、復刻版のバレエを手掛けたり、個性を残しながら現代的なバレエ団へと少しづつ変革していっているので、ちょっとボリショイに心が傾きつつあります・・
きっと、バレエ学校の生徒たちも、そうしたところが魅力的に見えているのかもしれないですね。
(ボリショイへの優秀人材流出はワガノワバレエ学校の校長がボリショイの元トップダンサーに変わったことも影響しているでしょうが、そのことを書くともう訳が分からなくなるので、このへんで・・・)
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